観光向けトップページ > 文化 > 民俗・工芸 > 大島紬 > こうしてできる本場奄美大島紬(奄美大島紬のイロハ)
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更新日:2023年5月22日
本場奄美大島紬は、気の遠くなるような数々の工程を経て、できあがるまで半年から1年以上かかります。
人々は自然の恵みを受けながら、我が子をいとおしむように大島紬を育んできたのです。
1.大島紬の図案はすべて、種別、糸の密度などに合わせ、織物設計をした上で方眼紙の上にえがかれていく。大島紬はまずこの図案作成からはじめられる。
2.「締機」で絣をくくるためには、必要な本数をそろえ糊で固めておかねばならない。絣は経糸も緯糸も反数によって糸の本数をそろえイギス・フノリなどをつけ、日光で十分乾燥させる。製品づくりのための最初の大事な工程である。
3.大島紬の特徴は、精巧な絣の美にあるが、その秘密はこの締織技術にあるといってよい。
他の産地が、糸くくりや板締を用いているのに対し、奄美ではこの締機を用いている。経糸の綿糸で、図案に合わせながら絹糸を強く締めないと、きれいな絣はできない。だから締機は男の仕事なのである。
4.大島紬の生命ともいうべき泥染めにはその前提としてテーチ木染めが必要である。まずテーチ木(和名・車輪梅)の幹と根を小さく割り、大きなかまで約14時間煎じ、その汁でおよそ数十回も繰り返して染めるうちテーチ木のタンニン酸によって糸はしだいに赤褐色に変わっていく。
5.テーチ木の樹液で20回染め、泥田で一回染めを一工程とし、これを3~4回繰り返す(計100回程)ことによりテーチ木のタンニン酸と泥の鉄分とが化合して糸はやわらかくこなされ、決して化学染料では合成し得ない独特の渋い黒の色調に染め上がる。
6.一口に「加工」と言われる工程は、締や染色を除く、機織りのための準備工程を言い、細分化すると28工程にものぼる作業工程がある。主なものは、整経・糸繰り・糊付け・糊張り・部分脱色・摺り込み染色・絣むしろほどき・綾ひろい(柄合せ)などである。
7.締めは力のいる男の仕事であるが、織りは根気のいる女の仕事だ。高機による手織りで一糸一糸、心をこめて織られていく。一反織りあげるのは、柄の難易度によっても異なるが、1ヶ月位から数ヶ月近くかかるものもある。
8.大島紬は高機を用い、すべて手織である。およそ7センチほど織っては、経糸をゆるめ1本1本たんねんに針で絣を合わせる。
9.織り上げられた大島紬は、すべて本場奄美大島紬協同組合の検査場に持ちこまれる。ここではこの道数十年のベテラン検査員が、長さ・織り巾・絣不ぞろい・色むら・織り疵・量目不足など、18項目に及ぶ厳重なチェックを行い、合否を決定している。
梅ににた花を春先につける。花が咲く前の養分を一杯蓄えた冬場に切り倒し、幹を細かく砕き、煎じて糸の染めに使う。海沿いの潮風に吹きさらされた木ほど色素(タンニン)を多く含む。煎じ終わったテーチ木は乾燥させ、次のテーチ木を煎じる際の燃料にする。さらに残った灰は集められて藍染め用の藍ガメに入れる。そして、最後に灰は藍とともに、肥料としてまかれ、奄美の大自然に還るのだ。
しっとり、つややかな黒に染め上げるこの泥染めは、きものを
など、素晴らしい利点をつける。
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