○瀬戸内町議会基本条例

平成30年3月19日

条例第9号

目次

前文

第1章 総則(第1条)

第2章 議会及び議員の活動原則(第2条・第3条)

第3章 町民と議会の関係(第4条・第5条)

第4章 議会と執行機関の関係(第6条―第9条)

第5章 自由討議の拡大(第10条)

第6章 議会改革の推進(第11条・第12条)

第7章 議会及び議会事務局の体制整備(第13条―第18条)

第8章 議員の身分及び待遇,政治倫理(第19条―第21条)

第9章 最高規範性及び見直し手続き(第22条―第24条)

附則

瀬戸内町議会は,町民から選挙で選ばれた議員によって構成され,同じく町民から選ばれた瀬戸内町長とともに,瀬戸内町の代表機関を構成する。

憲法は町長には執行権を,議会には議決権を与え,お互いにその権限を均衡させ,いわゆる「二元代表制」に基づく地方自治の組織と運営を保障している。

議会は多人数による合議制の機関として,また町長は独任制の機関として,それぞれの異なる特性を生かして,町民の意思を町政に的確に反映させるために競い合い,協力し合いながら,瀬戸内町として最良の意志決定を導く共通の使命が課せられている。

議会が町民の代表機関として,町長とともに町政の発展と町民の福祉向上のために果たすべき役割は,ますます大きくなっている。特に地方分権化が進み,自治体の自主的な決定と責任の範囲が拡大した今日,議会は,その持てる権能を十分に駆使し,執行機関の監視及び評価機能の強化拡充を図るとともに,議員間の自由闊達な討議により積極的な政策立案及び政策提言を行う議会へ自らを改革していかなければならない。

更には,町民の積極的な参加と協働のもと,公平・公正にして透明性のある合議体としての議会づくりを通して,町民の多様な意見を反映でき,町民に開かれた信頼される議会へと成長発展していく必要がある。

我々は,地方自治法の遵守とともに,積極的な情報の公開,政策活動への町民参加の推進,議員間の自由な討議の展開,町長及び執行機関との持続的な緊張関係の保持,議員の自己研さんと資質の向上,公正性と透明性の確保,議会活動を支える体制の整備等を積極的に進めることにより,町民に信頼され,品格と存在感のある議会を築こうとするものである。

このような議会の責務を果たすとともに,議会のあり方を実現するために本条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は,地方分権の時代にふさわしい,町民の代表機関である議会の運営に関する基本事項を定め,議会及び議員の活動の活性化と充実を図り,瀬戸内町の持続的で豊かな町づくりの実現と町民福祉の向上に寄与することを目的とする。

第2章 議会及び議員の活動原則

(議会の活動原則)

第2条 議会は,町民主権を基礎とする町民の代表機関であることを常に自覚し,公正性,透明性,信頼性を重んじた町民に開かれた議会及び町民参加を不断に推進する議会を目指して活動する。

2 議会は,議会が,議員,町長,町民等の交流と自由な討論の広場であるとの認識に立って,その実現のために,この条例に規定するもののほか,瀬戸内町議会会議規則(昭和62年規則第1号)の内容を継続的に見直すものとする。

3 議長は,瀬戸内町議会傍聴規則(昭和62年議会規則第2号)に定める傍聴に関し,傍聴者の求めに応じて議案の審議に用いる資料等を提供するなど,傍聴の意欲を高める議会運営に努める。

4 町民が分かりやすい言葉及び表現を用いた議会運営を行う。

(議員の活動原則)

第3条 議員は,議会が言論の府であること及び合議制の機関であることを十分に認識し,議員相互間の自由な討議を重んじなければならない。

2 議員は,町政の課題全般について,課題別及び地域別等の町民の多様な意見を的確に把握するとともに,自己の能力を高める不断の研鑽等によって,政策立案能力を高め,町民の負託に応えられるように活動するものとする。

3 議員は,個別的な事案の解決だけでなく,町民全体の福祉の向上を目指して活動しなければならない。

第3章 町民と議会の関係

(町民参加及び町民との連携)

第4条 議会は,議会の活動に関する情報公開を徹底するとともに,町民に対する説明責任を十分に果たさなければならない。

2 議会は,本会議及び常任委員会並びに特別委員会を原則公開するものとする。

3 議会は,常任委員会,特別委員会等の運営に当たり,参考人制度及び公聴会制度を十分に活用して,町民の専門的又は政策的識見を議会の討議に反映させるものとする。

4 議会は,町民からの請願及び陳情を政策提言と位置づけるとともに,その審議においては,必要に応じてこれらの提案者の意見を聴く機会を設けることができる。

5 議会は,町民等との意見交換の場を会期中又は閉会中を問わず多様に設け,町民が議会の活動に参加できるような措置を講じて,議会及び議員の政策能力を強化するとともに,政策提案の拡大を図るものとする。

6 議会は,重要な議案に対する各議員の態度を議会広報で公表する等,議員の活動に対して町民の評価が的確になされるよう情報の提供に努めるものとする。

(議会報告会の開催)

第5条 議会は,前条の規定に関する実効性を高める方策として,町民に対する議会報告会を少なくとも年1回開催して,議会の説明責任を果たすとともに,これらの事項に関して広く町民の意見を聴取して,議会活動に反映させるものとする。

第4章 議会と執行機関の関係

(議会及び議員と町長等の関係)

第6条 議会の本会議における議員と町長及び執行機関の職員(以下「町長等」という。)の質疑応答は,広く町政上の論点,争点を明確にするため,一問一答の方式で行う。

2 議長から本会議及び常任委員会,特別委員会への出席を要請された町長等は,議員の質問に対して議長又は委員長の許可を得て,質問の論点整理のために反問することができる。

3 議員は,閉会中に緊急性の高い事案について,議長を経由して町長等に対し文書質問を行うことができる。この場合において,町長等に文書により回答を求めるものとする。

4 議会は,閉会中に町長等に対し,文書により質問を行い,文書による回答を求めることができる。

(政策等の形成過程の説明)

第7条 議会は,町長が議会に計画,政策,施策,事業等(以下「政策等」という。)を提案するときは,政策等の水準を高めるため,次に掲げる政策等の決定過程を説明するよう求めることができる。

(1) 政策等の発生源

(2) 検討した他の政策案等の内容

(3) 他の自治体の類似する政策との比較検討

(4) 総合計画における根拠又は位置づけ

(5) 関係ある法令及び条例等

(6) 政策等の実施にかかわる財源措置

(7) 将来にわたる政策等の費用対効果の試算

2 議会は,前項の政策等の提案を審議するに当たっては,立案,執行における論点,争点を明らかにするとともに,執行後における政策評価に資する審議に努めるものとする。

(予算及び決算における政策説明資料の作成)

第8条 議会は,町長に対し,予算案及び決算を議会に提出し,議会の審議に付すに当たっては,前条の規定に準じて,分かりやすい施策別又は事業別の政策説明資料を作成するよう求めることができる。

(法律第96条第2項の議決議案)

第9条 法律第96条第2項に規定する議会の議決事件については,次のとおりとする。

(1) 基本構想及び総合計画

(2) 老人福祉計画・介護保険事業計画

(3) 子ども・子育て支援事業計画

(4) 障害者福祉計画

第5章 自由討議の拡大

(自由討議による合意形成)

第10条 議会は,議会が議員による討論の場であることを十分に認識して,積極的に議員相互間の討議に努めるものとする。

2 議会は,本会議,常任委員会,特別委員会等において,議員提出議案,町長提出議案,及び町民提案等に関して審議し結論を出す場合,議員相互間の自由討議により議論を尽くして合意形成に努めるとともに,町民に対する説明責任を十分に果たさなければならない。

3 議員は,前2項による議員相互間の自由討議を拡大するため,政策,条例,意見等の議案の提出を積極的に行うよう努めるものとする。

第6章 議会改革の推進

(議会改革推進会議)

第11条 議会は,議会改革に継続的に取り組むため,議員で構成する議会改革推進のための会議を設置することができる。

2 議会は,必要があると認めるときは,前項の議会改革推進のための会議に学識経験を有する者等を構成員に加えることができる。

(交流及び連携の推進)

第12条 議会は,他の自治体の議会との交流及び連携を推進するため,独自に又は共同して,地方分権時代にふさわしい議会の在り方についての調査研究等を行うものとする。

第7章 議会及び議会事務局の体制整備

(委員会等の適切な運営)

第13条 議会は,社会,経済情勢等により新たに生じる行政課題に適切かつ迅速に対応するため,常任委員会,特別委員会等の適切な運営により機動力を高めなければならない。

2 議会は,法律により活動が制限されている常任委員会,特別委員会等の制約をこえて,町政の諸課題に柔軟に対処するため,町政全般にわたって,議員及び町民が自由に情報及び意見を交換する意見交換会を開催するものとする。

3 委員会審査に当たっては,資料等を積極的に公開しながら町民に対し,分かりやすい議論を行うよう努めなければならない。

4 委員会は,町民から要請に応じ,審査の経過等の説明を積極的に行うよう努めるものとする。

(調査機関の設置)

第14条 議会は,町政の課題に関する調査のため,必要があると認めるときは,議決により,学識経験を有するもの等で構成する調査機関を設置することができる。

2 議会は,必要があると認めるときは,前項の調査機関に議員を構成員として加えることができる。

(議会事務局の体制整備)

第15条 議会は,議会及び議員の政策形成及び立案機能を高めるため,議会事務局の調査及び法務機能を積極的に強化する。なお,当分の間は,執行機関の法務機能の活用等を考慮するものとする。

2 議会事務局は,議員の議会活動に必要とされる行政情報の提供に努めるものとする。

(議員研修の充実強化)

第16条 議会は,議員の政策形成及び立案能力の向上等を図るため議員研修の充実強化に努めるものとする。

2 議会は,議員研修の充実強化に当たり,広く各分野の専門家,町民各層等との研修会を開催するものとする。

3 議会及び議員は,町政の課題を広い視点からとらえるため,他の自治体の事例等を調査研究するように努めるものとする。

4 議会は,議員研修の結果を議会及び議会広報誌並びに議会報告会等で町民に分かりやすく報告するものとする。

5 議会は,議員にこの条例の理念を浸透させるため,一般選挙を経た任期開始後速やかに,この条例の研修を行わなければならない。

(議会広報活動の充実)

第17条 議会は,町政に係る重要な情報や議会の日程及び議案等を,議会独自の視点から,常に町民に対して周知するよう努めるものとする。

2 議会は,情報技術の発達をふまえた多様な広報手段を活用することにより,多くの町民が議会と町政に関心を持つよう議会広報活動に努めるものとする。

(危機管理)

第18条 議会は,災害等の不測の事態から町民等の生命・身体及び財産又は生活の平穏を守るとともに,緊急時における総合的かつ機能的な活動が図れるよう,町長等と協力し,議会の危機管理体制を整えるものとする。

2 議会及び議員は,町内の状況を調査し,町民の意見及び要望を的確に把握するとともに,必要に応じ町長等に対し,議会として提言及び提案を行うものとする。

第8章 議員の身分及び待遇,政治倫理

(議員定数)

第19条 議員定数は,瀬戸内町議会議員定数条例で定める。

2 議員定数の改正に当たっては,行財政改革の視点だけでなく,町政の現状と課題,将来の予測と展望を十分に考慮するとともに,広く町民の意見を聴取するものとする。

3 議員定数の条例改正案は,地方自治法第74条第1項の規定による町民の直接請求があった場合を除き,改正理由の説明を付して必ず議員が提案するものとする。

(議員報酬)

第20条 議員報酬は,瀬戸内町報酬及び費用弁済等に関する条例で定める。

2 議員報酬の改正に当たっては,行財政改革の視点だけではなく,町政の現状と課題,将来の予測と展望を十分に考慮するとともに,その報酬の額が議員の職務及び職責に相応しいものとなるよう町民及び議会としての意見が反映されるよう努めるものとする。

(議員の政治倫理)

第21条 議員は,町民全体の代表者としてその倫理性を常に自覚し,自己の地位に基づく影響力を不正に行使することによって,町民の疑惑を招くことのないよう行動しなければならない。

第9章 最高規範性及び見直し手続き

(最高規範性)

第22条 この条例は,議会運営における最高規範であって,議会は,この条例に違反する議会の条例,規則,規程等を制定してはならない。

2 議会は,議会に関する憲法,法律,他の法令等の条項を遵守し,この条例に定める理念及び原則に基づいて運用しなければならない。

(議会及び議員の責務)

第23条 議会及び議員は,この条例に定める理念及び原則並びにこれらに基づいて制定される条例,規則,規程等を遵守して議会を運営し,もって町民を代表する合議制の機関として,町民に対する責任を果たさなければならない。

(見直し手続き)

第24条 議会は,一般選挙を経た任期開始後,できるだけ速やかに,この条例の目的が達成されているかどうかを議会運営委員会において検討するものとする。

2 議会は,前項による検討の結果,制度の改善が必要な場合は,この条例の改正を含めて適切な措置を講じるものとする。

3 議会は,この条例を改正する場合には,全議員の賛同する改正案であっても,本会議において,改正の理由及び背景を詳しく説明しなければならない。

この条例は,平成30年4月1日から施行する。

瀬戸内町議会基本条例

平成30年3月19日 条例第9号

(平成30年4月1日施行)

体系情報
第2類 議会・選挙/第1章
沿革情報
平成30年3月19日 条例第9号