○瀬戸内町希少野生動植物の保護に関する条例
平成25年6月19日
条例第23号
(目的)
第1条 この条例は,瀬戸内町に生息する野生動植物が,世界的に見ても貴重な財産であるとともに,生態系の重要な構成要素であることから,町内に生息し,又は生育する希少な野生動植物の保護を図り,後世に継承していくことを目的とする。
(1) 種(亜種又は変種がある種にあっては,その亜種又は変種とする。以下同じ。)の存続に支障を来す程度にその種の個体の数が著しく少ない野生動植物
(2) 種の個体の数が著しく減少しつつある野生動植物
(3) 種の個体の主要な生息地又は生育地が消滅しつつある野生動植物
(4) 種の個体の生息又は生育の環境が著しく悪化しつつある野生動植物
(5) 前各号に掲げるもののほか,種の存続に支障を来す事情がある野生動植物
3 この条例において「町民等」とは,町民,事業者,旅行者及び滞在者をいう。
(他の法令等との関係)
第3条 希少野生動植物の保護に関し,絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成4年法律第75号),鹿児島県希少野生動植物の保護に関する条例(平成15年鹿児島県条例第11号)その他の法令に特別の定めがある場合を除くほか,この条例の定めるところによる。
(町の責務)
第4条 町は,希少野生動植物の保護に関する基本的かつ総合的な施策を策定し,実施するものとする。
2 町は,希少野生動植物の保護の必要性について,町民等の理解を深めるよう努めるものとする。
(町民等の責務)
第5条 町民等は,前条第1項に規定する町が実施する施策に協力する等希少野生動植物の保護に寄与するように努めなければならない。
(近隣市町村との連携)
第6条 町は,近隣市町村に対し,第4条第1項に規定する町が実施する施策に協力することを求めるとともに,情報の提供その他の必要な支援を行うよう努め,連携を図るものとする。
(財産権の尊重等)
第7条 この条例の適用に当たっては,関係者の所有権その他の財産権を尊重し,町民の生活の安定及び福祉の維持向上に配慮しなければならない。
(地域開発等における配慮)
第8条 町は,地域の開発及び整備の実施に当たっては,希少野生動植物の個体の生息又は生育の環境の適正な保全について配慮しなければならない。
(指定希少野生動植物の指定)
第9条 町長は,町内に生息し,又は生育する希少野生動植物であって,特に保護を図る必要があると認めるものを指定希少野生動植物として指定することができる。
3 町長は,指定をするときは,その旨及び指定に係る動植物の種名を告示しなければならない。
4 指定は,前項の規定による告示によってその効力を生じる。
5 町長は,指定希少野生動植物の個体の生息又は生育の状況等により指定の必要がなくなったと認めるときは,指定を解除しなければならない。
(捕獲等の禁止)
第10条 指定希少野生動植物の生きている個体は,捕獲,採取,殺傷又は損傷(以下「捕獲等」という。)をしてはならない。ただし,人の生命若しくは身体の保護のため緊急やむを得ない場合又は学術研究その他公益上の理由により町長が特に必要と認めて許可した場合は,この限りでない。
(捕獲等の許可)
第11条 前条第1項ただし書の許可を受けようとする者は,町長の許可を受けなければならない。
2 前項の許可を受けようとする者は,規則で定めるところにより,町長に許可の申請をしなければならない。
4 町長は,第1項の許可をしたときは,規則で定めるところにより,許可証を交付しなければならない。
5 第1項の許可を受けた者のうち法人であるものその他その許可に係る捕獲等に他人を従事させることについてやむを得ない事由があるものとして規則で定めるものは,規則で定めるところにより,町長に申請をして,その者の監督の下にその許可に係る捕獲等に従事する者であることを証明する従事者証の交付を受けることができる。
8 第1項の許可を受けて捕獲等をした者は,その捕獲等に係る個体を,生育に適した条件を維持する適当な飼養栽培施設に収容し,当該個体を損傷しないよう適切に管理しなければならない。
2 前項の規定による立入検査をする職員は,その身分を示す証明書を携帯し,関係者に提示しなければならない。
3 第1項の規定による権限は,犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(生息地等保護区の指定)
第14条 町長は,指定希少野生動植物の保護のため必要があると認めるときは,その個体の生息地又は生育地及びこれらと一体的にその保護を図る必要がある区域を生息地等保護区(以下「保護区」という。)として指定することができる。
2 保護区は,その個体の分布状況及び生態その他その個体の生息又は生育の状況を勘案して,その指定希少野生動植物の保護のため重要と認める地域をいう。
4 町長は,指定をしょうとするときは,あらかじめ,その旨を告示し,告示した日から起算して14日を経過する日までの間,指定の区域を公衆の縦覧に供しなければならない。
6 町長は,指定について異議がある旨の前項の意見書の提出があったときその他指定に関し広く意見を聴く必要があると認めるときは,公聴会を開催するものとする。
7 町長は,指定をするときは,その旨並びに指定の区域及び指定に係る指定希少野生動植物を告示しなければならない。
8 指定は,前項の規定による告示によってその効力を生じる。
9 町長は,指定希少野生動植物の個体の生息又は生育の状況等により指定の必要がなくなったと認めるときは,指定を解除しなければならない。
(生息地等保護区内の規制)
第15条 保護区の区域内においては,次に掲げる行為を行う場合は,町長の許可を受けなければならない。
(1) 建築物その他の工作物を新築し,改築し,又は増築すること
(2) 宅地を造成し,土地を開墾し,その他土地(水底を含む。)の形質を変更すること
(3) 鉱物を採掘し,又は土石を採取すること
(4) 水面を埋め立て,又は干拓すること
(5) 河川,湖沼等の水位又は水量に増減を及ぼさせること
(6) 木竹を伐採すること
(7) 火入れ又はたき火をすること
2 次に掲げる行為については,前項の規定は,適用しない。
(1) 非常災害に対する必要な応急措置としての行為
(2) 通常の管理行為又は軽易な行為のうち,指定希少野生動植物の保護に支障を及ぼすおそれのない行為として規則で定めるもの
3 第1項の許可を受けようとする者は,規則で定めるところにより,町長に許可の申請をしなければならない。
4 町長は,指定希少野生動植物の保護のため必要があると認めるときは,その必要の限度において,第1項の許可に条件を付することができる。
(措置命令等)
第16条 町長は,指定希少野生動植物の保護のため必要があると認めるときは,保護区の区域内において前条第1項の許可を受け,当該許可に係る行為をしている者に対し,その行為の実施方法について指示をすることができる。
2 町長は,前条第1項の規定に違反した者がその違反行為によって指定希少野生動植物の個体の生息地又は生育地の保護に支障を及ぼした場合において,指定希少野生動植物の保護のため必要があると認めるときは,これらの者に対し,相当の期限を定めて,原状回復を命じ,その他指定希少野生動植物の個体の生息地又は生育地の保護のため必要な措置を執るべきことを命ずることができる。
3 前項の規定による立入検査又は立入調査をする職員は,その身分を示す証明書を携帯し,関係者に提示しなければならない。
(実地調査)
第18条 町長は,第14条第1項の規定による指定をするための実地調査に必要な限度において,その職員に,他人の土地に立ち入らせることができる。
2 町長は,その職員に前項の規定による立入りをさせようとするときは,あらかじめ,土地の所有者又は占有者にその旨を通知し,意見を述べる機会を与えなければならない。
3 第1項の規定による立入りをする職員は,その身分を示す証明書を携帯し,関係者に提示しなければならない。
4 土地の所有者又は占有者は,正当な理由がない限り,第1項の規定による立入りを拒み,又は妨げてはならない。
(希少野生動植物保護推進員)
第20条 町長は,希少野生動植物の保護及びその生息し,又は生育する自然環境の保全に関する必要な啓発,調査,助言等を行わせるため,希少野生動植物保護推進員(以下「推進員」という。)を置くことができる。
2 推進員に関し必要な事項は,規則で定める。
(国及び他の地方公共団体との協力)
第21条 町は,希少野生動植物の保護に関する施策の策定及び実施に当たっては,国及び他の地方公共団体と協力し,その推進に努めるものとする。
(町民等の活動の促進)
第22条 町は,町民及び事業者又はこれらの者が組織する団体がこの条例の趣旨に基づき希少野生動植物の保護に関する活動について,必要な助言,指導その他の支援措置を講じるものとする。
(委任)
第24条 この条例の施行に関し必要な事項は,規則で定める。
附則
附則(平成28年3月3日条例第14号)
この条例は,平成28年4月1日から施行する。